AIMCバークレー校 四国研修
3日間にわたり、AIMCバークレー校(Acupuncture & Integrative Medicine College, Berkeley)の皆さん25名をお迎えし、研修が行われました。鍼・統合医療専門職大学院であるAIMCバークレー校は、米国カリフォルニア州で、はり師の養成をしており、2012年に本校と姉妹校提携を結びました。以来、定期的に研修を受け入れ、学術・文化交流を行っています。
☆17日(水)「大師流小児はり」 Daishi Shonihari Society
大師流小児はりの会では、「世界中の子どもたちを笑顔に」をモットーに、国内はもちろん、アメリカ、ドイツ、フランス、ブラジルなどで医師・鍼灸師を対象とした講習会を行い、「小児鍼で治せる技術」を伝授しています。今回は鍼灸マッサージ学科卒業生の小野奈津美先生(三豊市 こうのとり健康鍼灸院)、鍼灸学科卒業生の高宮翔子先生(丸亀市 鍼灸院ひつじのはね)、栗田倫太郎先生(松山市 栗田鍼灸院)の3名を講師にお迎えしました。
研修では①大師流小児はりの特徴 ②皮膚に応じた刺激 ③子どもとの接し方 ④小児はりの適応症 ⑤健康の3大原則 ⑥大師流腹部打診 ⑦オーバードーゼの対処法など詳しく丁寧にご指導いただきました。また、講師3名が全員を回って、前腕部に1歳、3歳、10歳の刺激で小児はりをしてくださったり、腹部打診では具体的な手の当て方や圧力、音の種類と症状、手のひらに伝わる弾力と施術前後で変わる音の変化をモデルを用いてわかりやすく見せてくださいました。
「小児はり」は日本で発祥し、おもに関西地方で発展した子どものための治療法です。国民皆保険制度が整備される以前は、夜泣きなどの代表的な小児神経疾患のほかにも、さまざまな不定愁訴に大変効果があるとして盛んに行われてきました。最近は生理学や皮膚科学の進化に伴い、あらためて小児はりが注目されています。フェザータッチで、とても気持ちの良い大師流小児はり、良い「手」を作り、施術をマスターして、世界の子供たちを笑顔にしていただきたいと思います。かわいいモデルさんたちもご協力ありがとうございました。
☆18日(木)・19日(金)「美容鍼と経絡バランス」Meridian-Based Cosmetic Acupuncture
AIMCの皆さんに美容鍼のイメージを聞いてみると、「ストレスを解消して気持ちが前向きになる」、「ポジティブで笑顔になる」、「メンタルが整う」、「インナービューティ―ケア」、「老化による顔のシワ・たるみなどのケア」の答えが返ってきました。さすがですね。美容鍼のことをよくわかっていらっしゃいます。授業を担当した大麻陽子副学校長は、日本の伝統的鍼灸の底流となっている「触れる」というケア・テクニックを大切にし、患者さんの「美と健康づくり」をサポートし、日本鍼灸古来の伝統精神を「美容鍼」に活かしています。そのようなポイントを共有してスタートした授業は実技が中心です。①脈診、腹診を含めた体のバランスチェック ②四肢への刺鍼で変化をみる ③顔のバランスチェックとストレッチ・マッサージ ④押手を使って丁寧な頭・顔の刺鍼を繰り返し行いました。また、美容鍼をする上で大切な ⑤皮膚の構造と鍼の深さ ⑥美容鍼と皮膚のターンオーバー ⑦側頭筋は重要、についても詳しくお伝えしました。ムダなく、手際よく、やわらかく、ていねいに。部分と全体、全体と部分をイメージしながら常に全体をみる。上下左右を比べ、わずかの差を感じ取る。「伝わった、わかってもらえた」で共有する。治療開始から終了まで、切れ目ない「流れ」の中で、いかに心地よい「雰囲気」「空間」を味わっていただき、「美しく変身していく」というイメージを一緒に楽しむことができるか・・・ここが勝負どころになります。「大師流小児はり」と同じく、たくさんの内容でしたが、皆さん熱心にひとつずつマスターしてくれました。
また、19日(金)授業の冒頭では、堤野孟教員による鍼のデモンストレーションが行われました。
基本的な日本の管鍼法、刺鍼法、そしてモデルを用いての経絡治療・・・。「amazing!」丁寧でやさしい鍼に皆さん釘付け状態でした。鍼の弾入回数にもそれぞれ意味がありましたが、理由を聞いて、なるほど~!と皆さん納得。鍼以外では、患者衣を早速購入したい、タオルワークが新鮮との声もありました。
☆鍼灸マッサージ学科3年生との実技交流
17日(水)・18日(木)の放課後に3年生がAIMCの皆さんに「指圧・あん摩」をさせていただきました。17日は全員が指圧を、18日は「日本のあん摩も受けてみたい」とのリクエストもあり、多くの人があん摩を受けてくれました。英会話はできないけれど、単語を並べたり、身振り手振りで・・・通じていたようです。3年生、良くできていました!
☆17日(水)Welcome!うどんランチ
かけうどん、しょうゆ、ぶっかけ、の中から好きなうどんを選んでもらいました。新玉ねぎのかき揚げ、アジフライ、おむすびも。セルフのうどん屋さんを体験し、(特にネギ、ショウガ、天かすのトッピングは楽しそう。)たくさん召しあがっていました。学生ホールの麺匠豊三さん、ご協力ありがとうございました!
19日(金)の閉講式では後藤修司学校長より、それぞれに修了証が手渡されました。続いて、学校からの記念品「色紙額」をプレゼント。AIMCの皆さんには予め、書にしてほしい言葉や漢字を聞いていましたが、それを書道家の市原佳代先生(高松市)がイメージ通りに書いてくださいました。お渡しの場面では、その漢字を選んだ理由や、それにまつわるエピソードなど一人一人が話をしてくれました。なかには胸がいっぱいで泣いてしまった人も・・・。私たち教員も感動しました。
あっという間の3日間でしたが、7年ぶりとなるAIMCバークレー校の四国研修は無事終わりました。ご協力いただいた講師の皆さん、教職員の皆さん、ありがとうございました。
皆さん、またお会いできる日を楽しみにしています。
【AIMCバークレー校 先生方からのお礼のメッセージ】
この度は私ども教員、そしてAIMCの生徒を温かくお迎えいただきありがとうございました。四国医療専門学校の皆さま方、そして先生方のご指導のもと、生徒達は日本の文化、伝統的な鍼灸技術に触れることが出来ました。講習期間中は、日々先生方に助けて頂きながらこのプログラムを無事終えることができました。お陰様で、すべてが心温まる素晴らしい体験となり、生徒同士も親交を深めることができ、本当に嬉しく思います。生徒達は先生方の美しく、そして効果のある鍼灸の技術に感激し、日本鍼灸により一層興味を抱きました。実習により施術の流れ、手の動きや鍼の位置、コミュニケーションによる信頼関係の築きかたなど、細かくご丁寧に説明して下さりありがとうございました。未熟な生徒達に辛抱強く対応して頂き感謝しております。
また、3年生との実技交流では、指圧やあん摩の施術を通して、生徒達も言葉は通じなくとも心と心で交流し、絆を強める事が出来ました。これらのかけがえのない素晴らしい機会を私達AIMCの生徒そして教員に与えて下さった先生方の温かいお心遣いとお気遣い、深く感謝致します。
AIMCは先生方が教えてくださった鍼灸の実施教育の機会をより多くの生徒に与えたいと思っています。そして将来、彼らが公共に貢献することを望んでいます。そのために先生方をAIMCにお迎えできるように準備を進めて行ければと思っています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
四国医療専門学校とAIMCの高翔を願って。