職業倫理『私の鍼灸道と皆さんへのお願い』
2回にわたり、鍼灸マッサージ学科・鍼灸学科3年生を対象に職業倫理の授業が行われました。講師は「おおつか鍼灸治療院」(高松市)代表で、香川県鍼灸師会理事の大塚安混先生です。大塚先生は卒業して37年、開業して34年、臨床経験を積み重ね、業界でも長く役職を務められているベテラン鍼灸師です。
授業は自己紹介でスタートし、これまで歩いてこられた「鍼灸道」について、また、これからの鍼灸については学生への「お願い」(法規をきちんと守ること、卒業してからも勉強会には積極的に参加すること、業界団体へ所属すること、小児鍼の普及、お灸の普及など)も含め、ユーモアたっぷりにお話してくださいました。
実技のデモンストレーションは「塩灸」と「小児鍼」です。塩灸に使用する「モグサ団子」は、水と糊で溶いたモグサを型に入れて、先生がご自分で作っています。カビが生えないよう、上手く乾燥させるのがポイント。輪切りの竹は直径6センチがベスト。竹の中には8割程度塩を入れ、塩を押さえつけて固く締めます。
モグサ団子を取り、モグサの下から火をつけて塩の上に置きます。もぐさ団子が燃え切り、煙が出なくなってから、お腹に乗せます。(もぐさが燃えている間は換気扇の下に置いておく) 皮膚直接に置くのではなく、手ぬぐいをお腹に敷いてから乗せるのもポイントです。ひとつは臍の上に、もうひとつは臍と恥骨の間。大塚先生は3つ使うこともあります。塩灸は熱すぎる、熱いのはダメで、気持ちの良い程度で、ゆっくり温めて行きます。学生も体験して、上質な湿熱に癒されていました。
小児鍼にもたくさん種類がありますが、普通の鍼刺入による刺法とは違って、軽微な皮膚接触鍼刺激を主とした特殊な鍼法です。今回は皆で摩擦鍼の心地良さを体験し、刺激量の決め方や母親との信頼関係、適応症など・・・教科書等ではわからない、治療上の注意事項をリアルに教えていただきました。
「これからの鍼灸界を担ってほしい」
これは大塚先生だけでなく、多くの先輩鍼灸師皆さんが願っていることです。そのような人材になれるよう学生も教員も努力したいと思います。
ありがとうございました。