「春眠暁を覚えず・・・眠気覚ましのツボ」
春は寒さが和らぐことで睡眠環境が良くなると思われがちですが、実は睡眠トラブルが起こりやすい季節です。「春眠暁を覚えず・・・」と言われますが、体内時計のメカニズム「春眠暁を覚えず」を考えてみましょう。
体内時計のマスタークロックは、脳の視床下部の視交叉上核というところにあり、光刺激とメラトニンと呼ばれるホルモンが連動し、睡眠と覚醒をコントロールしています。夜暗くなると、松果体というところからメラトニンが分泌されて眠くなり、朝、光を浴びるとメラトニンの血中濃度が下がり、活動に向いた交感神経が優勢な状態に切り替わるのです。
春の睡眠トラブルの主な原因は体内時計のずれと、自律神経の乱れです。自律神経の中枢も視床下部にあって、体内時計と連動しています。ヒトの体内時計は24時間より少し長いのですが、朝日を浴びることで体内時計をリセットしているのです。春は朝に副交感神経から交感神経優位な状態に切り替わりにくいのが「春眠、暁を覚えず」の理由だと考えられます。

今回は簡単にできる眠気覚ましのツボをご紹介します。
①中衝(ちゅうしょう)
中指の爪の生え際で、人差し指側にあります。爪の角から2ミリ(キワキワ)にあります。
眠気を感じたら深呼吸をしながら、反対の手の親指と人差し指でツボを含む中指全体を強めにつまんで、左右に小刻みに半回転させます。1回10秒程度を左右交互に2~3セット繰り返すと良いでしょう。目が覚めるだけでなく、イライラの解消効果も期待できます。ツボは両方の指にあるので両方行いましょう。
②老宮(ろうきゅう)
掌の真ん中に位置する老宮は手を握ったときに人差し指と中指の先端が触れる中間にあるツボです。
精神機能を司っているので、ツボを押して血流を促すことで、酸素が身体全体に行きわたり、筋肉の疲労回復と脳の活性化を促します。また、自律神経を整えるので気分を落ち着かせたり、ストレスなどの精神的な疲れにも効果があります。
手を広げて労宮の位置に反対側の親指を当てます。ツボ押し棒やペン等で代用もできますが、尖ったものでは刺激せず、丸いもの、平らなもので行ってください。痛くない程度に強めに5秒程度押し、反対側も同様に刺激します。両手を1セットとして3~5回くらい行いましょう。
③睛明(せいめい)
左右の目頭と鼻根の間にある、小さなくぼみの部分が睛明です。
眠気覚ましにもなるほか、目の前が明るくスッキリする感覚になり、眼精疲労にも効果的なツボです。両手の親指をツボに当て、くぼみに親指をぴったりフィットさせ、少し上へ押し上げます。目の近くなので慎重に押しましょう。3秒くらい押して、様子を見ながら数回押してみましょう。眉頭にも「攅竹(さんちく)」というツボがあるのでセットで使っても良いです。


ツボ以外での対策としては、
①昼寝上手になりましょう。
昼食を終えて午後の仕事を再開すると、睡魔が襲ってくるという経験をした方・・・多いのではないでしょうか。午後に眠くなるのは昼食後にお腹がいっぱいになったから、と思われがちですが、実は食事とはあまり関係なく、もともと人間に備わっている体内時計の働きが大きいのです。人間の脳は1日に2回、起床から約8時間後と22時間後に眠くなるリズムが備わっています。この1回目の眠気である起床から8時間後が午後の眠気の大きな要因と言われています。一般的には14時~16時に生体リズムの影響で眠気のピークが来るので、その前に昼休みや休憩を利用して、食後に20分程度の軽い昼寝をとると、午後の眠気を予防できます。(昼寝をする際には、リクライニングで横になる姿勢か、座った姿勢が良いとされています。完全に横になってしまうと、しっかりと寝入ってしまい、目覚めが悪くなります。)
②ときどき姿勢を変えてみましょう。
デスクワークを同じ姿勢で続け、疲れてしまうことがありますね。長時間同じ姿勢で作業するのは、身体に負担がかかり集中力低下や疲労の原因となるため、意識的に姿勢を変えて作業することが重要です。ずっと座って作業されている方は、スタンディングデスクなどを使い立って作業したり、バランスボールに座り作業することで、身体を意識的に動かし、眠気を覚ますことなどもオススメです。
春眠暁を覚えず、には続きがあります。
処々に啼鳥を聞く。
夜来風雨の声、花落つること知る多少。
有名な冒頭だけでなく、詩全体から自然や春のすばらしさ、風情があふれています。