「ツボと体温調整」
丸亀市のリスナーさんから番組にメールをいただきました。
「今年の夏は猛暑で、とても暑い、暑いといわれていたのに私はあまり汗をかかず・・・。どうも体温調節が苦手なようです。これからの季節は手足の冷えも気になります。私のようなタイプにオススメのツボや簡単にできることがあれば教えてください。」
はい、ありがとうございます。
女性が体温調節できなくなってしまう原因として、①更年期による自律神経の乱れ②貧血(鉄欠乏性貧血)③運動不足・・・などが挙げられます。
50代前後の女性の場合は「更年期」症状の1つとして、ほてり・冷えなどの症状が出ている可能性があります。また、若い女性でも、偏食や過度なダイエットによる「貧血」や日常的な「運動不足」によって、体温調節ができなくなることもあります。
① 更年期による自律神経の乱れ
女性は更年期(閉経の前後各5年間の時期になると、女性ホルモンの一つである「エストロゲン」が急激に減少します。すると、自律神経の調節を行っている視床下部の機能が低下することにより、体温調節ができなくなってしまうことがあります。ほてり、のぼせ、発汗、冷え、動悸、イライラ、抑うつ、無気力、不眠、疲労感、倦怠感など・・・現れる症状や程度は個人差が大きく、さまざまです。
体温調節できるように衣服は脱ぎ着しやすいものに。腹式呼吸でリラックスしましょう。ただし、生活に支障が出てしまう場合は、一度病院を受診してください。
② 貧血 (鉄欠乏性貧血)
鉄欠乏性貧血(鉄不足による貧血)で赤血球やヘモグロビンが不足すると、酸素を体のすみずみまで運べなくなるため、体温調節が出来なくなってしまいます。鉄欠乏性貧血は、ダイエットなどにより、食事の量が極端に少ない人、栄養バランスが悪い食事をしている人に多いです。20代、30代の若い女性にも珍しくありません。また、月経に伴う出血も鉄欠乏性貧血の要因の一つとして挙げられます。めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、全身の倦怠感・・・このような症状には気をつけてください。普段の食事では鉄分を多く含む食品を積極的に摂取しましょう。
③ 運動不足
運動不足になると筋肉量が少なくなります。すると、全身をめぐる血液量も少なくなり、末端まで血液が流れなくなることで、手足に冷えを感じやすくなります。また、筋肉は熱産生するため、筋肉量が少なくなると体温調節できなくなります。さらに、発汗機能の低下により、体温が上手く下げられなくなることがあります。運動不足を感じている人は短時間ででき、道具の準備が必要のない手軽な運動から始めてみましょう。ストレッチ、ウォーキングなどがオススメです。忙しくて運動の時間が確保できない場合は、「テレビを見ながらスクワットする」など、スキマ時間を活用した「ながら運動」もオススメです。習慣化できるように工夫してみましょう。
①背中をゆるめる
自律神経は背中のコリととても深い関係があります。交感神経が優位になりすぎると身体は緊張し、背中も張ります。また、自律神経自体が背骨一つひとつから出ているため、背中の強いコリはその働きを阻害する可能性があります。特に、背中の上半分には東洋医学的には心兪(しんゆ)といってメンタルに関わる心(しん)のツボや、肝兪のツボがあります。ここを刺激するために例えばストレッチポールにのったり、ゴルフボールなどの上に乗ってゴリゴリと刺激しましょう。ストレッチやヨガで伸ばすことを意識するのも効果的です。
②全身をめぐらせる
ツボを押すときは呼吸をゆっくりしながらリラックスして行いましょう。また、一つのツボだけに一点集中するよりも、さまざまなところをまんべんなく押す方が効果的です。理由は、自律神経の乱れによって血流が悪くなり滞っていたり、目には見えませんがからだのエネルギーである気がめぐっていないことで現れている不調を改善する目的があります。東洋医学では、気のめぐりが悪くなることで自律神経の乱れのような不調が現れると考えます。一カ所だけを血流良くするのではなく、全身を巡らせるようにツボ押ししましょう。
③ 五臓の働きを整える
東洋医学では自律神経の乱れは主に“肝”や“心”が大きく関わっています。肝の気血のめぐりに関り、血流量を調節する機能と、心のメンタルや自分の意志以外で行われる呼吸や心臓の拍動など生命活動に関わる機能を整えることによって、現代医学でいう自律神経の乱れを整えることになります。ただし、身体はすべてつながっているので、胃で消化吸収ができていないと活力もなくなってしまいますし、肺の呼吸や腎の水分調節の機能も大切です。からだの五臓のバランス全体を整えることが症状の改善につながります。
ツボを押すときは
ツボ押しは一朝一夕で効果があるものではありません。コツをつかんで気を付けながら行えば、からだに良い変化をもたらしてくれます。ポイントはリラックスして行うこと。そして継続することにあります。
必ず深呼吸しながら 気持ちいいくらいで 毎日継続がポイント
からだを変えたいときは継続していくことが大切です。そのためには生活習慣を見直したり、日々の食事の改善などを行いながら、ツボ押しも習慣化しましょう。数回ツボ押しして効かないからと諦めてしまうのはもったいないです。
10月に入っても日中は暑い日もあり、夏以来冷房で体が冷えたまま、夏の装いのまま、秋を過ごしていることも多く、それで朝晩の冷えで体が冷えてしまうことがあります。体温のリセットもかねて38℃~39℃位のややぬるめのお湯に、ゆったりとつかりましょう。お気に入りの入浴剤を入れるとリラックス効果も増します。お風呂も活用してみてくださいね。