「心身一如 不安や緊張をしずめてくれるツボ」
高知市のリスナーさんからメッセージとリクエストをいただきました。
「私は癒しのツボのコーナーになると、いつも手を止めて、ラジオから聴こえる通りにツボを探して押しています。すると、妻も必ずと言って良いほど同じ事をやっています。先生の説明がとても分かりやすいので、ラジオの前で一緒にしている方もたくさんいらっしゃると思います! さて、不安を感じたり、緊張する時に落ち着けるようなツボや対策があれば教えてください。」
メッセージ、リクエストありがとうございました。
不安を感じる時というのは、大きくわけて2つ状態があります。不安を感じることによって現れるカラダの症状と、先のことを心配して現れるココロの症状です。現代はストレスの多い環境が整っているので、軽度な不安であっても、慢性的に抱えていると、その不安が強まっていく傾向があります。深刻な状態になる前に、今ある不安を軽くすることによって、症状を抑えられる可能性がありますよ。不調のサインを知り、いつもと違う自分に気づくためにも、カラダとココロの声を聴く習慣をつけましょう。
「ココロに現れる症状」にもいろいろあります。急に興味がなくなったり、憂うつ感、焦燥感、イライラ、怒りやすい、周りにあたってしまう、慢性的に落ち込む、集中ができない、心配、不安が多い、些細なことが気になる、考えすぎる、記憶力低下など。
「カラダに現れる症状」としては、頭痛、めまい、ぜんそく、喉がつかえるような感じ、高血圧、胃痛、下痢、便秘、腰痛、更年期障害、睡眠の不調、食欲がなくなるなど。睡眠の不調を訴える方は多いですね。なかなか寝つけない、夜中に何度も目を覚ます、早朝に目が覚めて再度寝付けない、寝過ぎてしまうなど。
不安感がある時に効果的なツボ
●頭のてっぺんにあるツボ 「百会」 ひゃくえ
まず、耳の位置を確認しましょう。 両耳の上端(とんがり)をまっすぐ頭頂部に向かって結んだ線をイメージします。次に正中線です。額から後頭部に向かって頭の中心を通る線をイメージします。この2つの線が交わる点が百会です。
百会は古くから様々な効果があると言われてきました。自律神経を整え、精神安定、頭痛・肩こり、痔にも効果があります。
※押し方 両手の人差し指を使って、気持ちいいと感じる強さで、体の中心に向かって押します。深呼吸をしながら少し弱めにゆっくり押しましょう。以前にも紹介しましたが、楊枝を10本ゴムで束ねて鍼の代用にします。軽くトン、トン、トン、トンと叩きます。小さくて、軽くて便利ですよ。また、ハンドタオルをレンジでチンして百会のツボを温めるのも気持ち良いです。
●胸の真ん中にあるツボ 「膻中」 だんちゅう
左右乳頭の中間点に取ります。ちょうど第4肋間に当たるのですが、ツボは胸骨の上。気の病に効くツボとして昔から有名ですが、呼吸の乱れ、息苦しくなる息切れ、気持ちの高ぶりからくる動悸などに効果があります。呼吸をしながら、両手の人差し指で静かに押します。軽く押し上げるようにして押すと良いです。ストレスが溜まっている人は、この部分を押すと少し痛いかもしれません。緊張や不安などで眠れない人に効果的です。
●手首より少し上にあるツボ 「内関」 ないかん
てのひらを上にします。手首のところにシワがありますね。その真ん中から指幅3本分上。細い腱が2本あるので、その間に取ります。乗り物酔いや頭痛に効果があるとされるツボで、手のしびれや痛みという体の症状の他にも、自律神経調節作用をはじめ、抑うつや無気力といったメンタルヘルスにも良いです。
東洋医学では「心身一如」という言葉があります。ココロとカラダは一体のもの、切り離せないものと考えています。ココロに不調が出ていても、カラダに不調が出ていても、全体を見て大もとになる原因を考え、その原因にアプロ―チします。結果、ココロとカラダのどちらにも自然と作用し、たとえ不安感などココロの不調であっても、和らげるための力となってくれるのです。
元気に毎日を過ごすためにはやはり規則正しい生活を送ることが大切です。「〇時に起きて△時に寝る」「□時に食事をとる」など生活リズムを整えることで、体内のリズムも整い次第に気分は安定していきます。
それから、長く続く不安感、強い不安感には気をつけましょう。必要以上に不安を感じる、はっきりしない不安が続く、不安と緊張の連続で余裕がない、人前で異常に緊張する、人混みなどに恐怖を感じる・・・このような症状が続き日常生活に支障が出ている場合は一人で我慢せず、速やかに専門医の診察を受けてくださいね。