「生命力の源 腎臓のはたらきをUPするツボ 太渓」
東洋医学には「五臓の働き」というものがあります。五臓とは、肝臓と心臓と脾臓と肺と腎臓の5つです。東洋医学では臓を抜いて、肝、心、脾、肺、腎と呼びます。今回はその中の「腎」ついてお話しますね。
「肝腎要」の言葉の通り、腎臓は重要な臓器です。西洋医学的には、血液を濾過して尿を作る腎臓としての機能・・・それ以外にも多くの働きを持っています。 東洋医学の「腎」は、成長、発育、生殖に関する働きがあり、生命力の源と考えられており、「先天の本」(生まれ持った生命エネルギー)と呼ばれます。東洋医学では45歳を過ぎると白髪が増えると考えられていますが、その他にも腎のはたらきが衰えてくると次のような症状があらわれます。
①頻尿
東洋医学の腎臓の働きに固摂(こせつ)作用というのがあります。身体に必要なものが勝手に漏れ出ないように、そこにしっかり留める働きです。腎臓が弱ると、本来留めておくべきものを、留めることができず流れ出てしまうと考えられています。膀胱であれば尿漏れや頻尿、血管なら内出血というかたちで表れます。そのため、腎臓が弱ると頻尿になりやすいといわれています。特に夜間の頻尿。夜間は眠るための時間なので、起きないように尿量などを調節していますが、腎臓が弱ると夜間の水分の調節ができないため夜間頻尿になってしまいます。尿以外の水分だと、夜間に汗をかく寝汗(東洋医学では盗汗)も腎臓の弱りでなる、と言われています。
②耳鳴り
東洋医学では「腎は耳に開竅(かいきょう)する」と言われ、腎と耳は密接に関係していると考えています。耳そのものだけではなく、耳の機能なども含むため聴力も腎と関係しています。腎臓が弱ると様々な耳の症状が出やすくなると言われていますね。耳鳴りの中でもセミが鳴くような耳鳴りや低音の耳鳴りは腎臓の弱りが原因として対応することが多いです。
③腰に力が入らない
東洋医学では「腰は腎の府」という言葉があります。「府」は大切なものが集まっている、主要な人や物事が集まるのような意味があるため、腰には腎の気が集まっていると考えられています。そのため、腎の力が弱ると腰に症状が出やすいとされています。東洋医学での腎臓は、骨を強くする機能もあるため、腎が弱ると骨も弱くなることから、腰や膝に症状が出やすかったり、だるさが現れたりします。
④口が乾く
東洋医学では、唾液は腎の元気と比例していると考えています。(唾液と涎(よだれ)は別々に考えています。)腎臓が弱ると唾液も減ってくるため、口の乾きを感じやすくなります。腎は生命力、言い換えると寿命とも関係しています。
⑤不安感
「五臓」には、それぞれに当てはまる感情があります。腎臓に当てはまる感情は「恐」です。腎臓が弱ると恐れやすくなる、と考えるので、ささいなことで怖(恐)がったり、ビクビクしやすくなったり、不安感が強くなると言われています。
対処法
腎をケアしてくれる食材
「黒い食べ物」が良いとされています。(五臓には色も当てはめられ、腎臓には黒が当てはまります。)具体的には、黒豆、黒ゴマ、黒キクラゲ、ひじき、昆布、このような黒い食べ物を積極的に摂ることがオススメです。
また、唾液と腎臓が関係しているので、ゆっくりとよく噛んで、たくさん唾液を出して食べるとより一層効果的です。
腎臓の機能を上げるツボ「太渓」
太渓(たいけい)は足にあるツボです。内果(内くるぶし)とアキレス腱の間陥凹部に取ります。「気持ちいい」程度の指圧も良いですし、これからの季節は温灸もオススメです。足の先からほんわか温まり、足の冷えの改善につながります。女性特有の症状「生理不順」「生理痛」「更年期障害」などにも有効です。腎の気が不足してくると腰痛を起こしやすくなりますが、太渓の温灸は、腰痛にも有効で足腰が弱い方にもオススメです。
最後に、皆さん「〇〇の秋」という時、なにを思い浮かべますか?
秋は植物が熟し、気温は徐々に涼しくなります。熱で消耗した体力を回復させ、冬に向けて蓄える季節です。空気とともに 肌や喉も乾燥しやすく、潤いが必要となります。辛いものを摂りすぎると、熱を生み 水分を奪うことがあるため、温かく乾燥した時期は とくに食べ過ぎ注意です。
秋の養生法
①「少し薄着を意識する」 足の冷えには注意
②「実ったものを食べる」 潤い効果
③「リフレッシュする」 自然豊かな場所へ
自然の中を散歩しながら深呼吸すれば、心身ともにリフレッシュできそうですね。