「東洋医学的お疲れ診断」
あなたは虚証(きょしょう)?実証(じっしょう)?
東洋医学では、同じ疲れでも体質や症状によってその原因や対処が異なると考えます。漢方の考え方を用いて明らかにした病気の姿を“証”といい、病態の基本的なものを表すのが虚(きょ)、実(じつ)です。
今回は、東洋医学の「虚証」「実証」という観点からあなたのお疲れの原因をチェック!
自分の弱点を知って、疲れを賢くリセットしましょう!
虚証→生命力や抵抗力など本来の体の機能が低下して不健康になった状態。
実証→外からの有害物(邪)が取りつき、充満することで不健康になった状態。
セルフチェックしてみましょう
項 目 | 虚 証 | 実 証 |
体質 | 体力なく疲れやすい虚弱 | 体力あり疲れにくい壮健 |
汗 | 汗をかきやすい | 汗をかきにくい |
顔色 | 青白い 黄色い | 赤い |
呼吸 | 弱い | 荒い |
声 | 低く弱い | 高く強い |
舌 |
歯根がある 淡白色 舌苔が少ない 肥大 |
舌苔が厚い 舌苔が隙間なく生えている |
胸・胸部 |
柔らかい 触られるのを好む |
張り感、圧痛がある 触られるのを嫌がる |
便通 | 軟便、下痢しやすい | 便秘ぎみ |
精神 | 消極的 委縮しやすい | 積極的 興奮しやすい |
水分代謝 | 水分代謝がいい | 余分な水をためやすい |
病気の症状 | 穏やか、慢性的 | 激しい 急性的 |
動作 | 静か | 活発 |
チェックした項目の合計数が「虚証」の方が多かった人 →「虚証」
「実証」の方が多かった人 →「実証」
「虚証」と「実証」が同じ数の人 →「混合型」
虚証は疲れが出やすい傾向
虚証は一般に疲れやすく、胃腸が弱いなど虚弱な人が多い傾向があります。しかし、必ずしも寿命が短いわけではないし、色白でひょろっとか弱そうに見える人がみんな虚証というわけではありません。虚証は慢性的な症状を訴えることが多く、病気になっても症状の出方は比較的穏やかです
弱っている機能をまず休める
例えば胃腸機能の弱い人は、胃腸に負担をかけない食事を心がけることが大切です夏に冷たいものを食べすぎて胃腸が疲れていると感じたら、まずは胃腸を休めることが先決です。「温かいものを少量、和食粗食で腹八分目」が基本です。「精をつけなきゃ」と無理にたくさん食べたり、脂っこいものや刺激物などを摂ったりすると、かえって胃腸の機能を低下させてしまうのでご注意を
また、虚証は冷えに弱いことが多く、クーラー病になったり、秋口の涼しさにうっかり窓を開けて眠って冷えたり、夏に避暑地に行って冷えて体調を崩す人が増えるので、気をつけましょう!
実証は疲れが潜みやすい傾向
実証は比較的丈夫で、実際は疲れていても疲れを感じにくい傾向があります。しかし、壮健だからといって必ずしも虚証より寿命が長いとは限らないし、一見がっしり丈夫そうな体格でも、実は体力のない人もいるので、見かけだけで判断はできません!!実証は普段は元気ですが、ひとたび風邪をひいたりすると急激な症状があらわれる傾向があります
疲れは体が発する「休め」の警告
実証は疲れをあまり感じない分、つい無理をして体に負担をかけてしまうことが多い傾向があります。少しでも「いつもと違って調子が悪いな」と思ったら、早めに休むのが鉄則です「仕事でどうしても休むわけにはいかない」と無理し続けていると、突然高熱が出るなど急激な症状に陥りやすいので気をつけましょう。特に男性は「このぐらいの疲れなんて」と我慢しがちなので、普段から自分の体の声によく耳を傾けることが大切です!!また、引っ越しや転職などで環境が変わったときや、大きな仕事の節目、あるいは季節の変り目などの「境目」にガクンと疲れが出て体調を崩してしまうケースが多いので、そうしたときはできるだけ休息をとるように心がけましょう
気持ちのいいことは、体にいいこと?
虚証にも実証にもいえることですが、基本的に自分が「気持ちがいい」と感じることは体にもいいことです「これは効いたよ」と他人にススメられたり、流行の健康法があっても、その方法が自分には苦痛であれば、それは自分の体には適切な養生ではないといえるでしょう「何が自分には不足しているのか」「何が自分には有害なのか」「何が自分には心地よいのか」といったことを、自分の経験や微妙な体の変化から常に察知することで、病を未然に防ぐことができます!
虚証・実証の「証」は年齢や環境・季節の違いによって変化するので、実証の人が虚証になることも、虚証の人が実証になることもあり得ます。
例えば、女性は出産を機に、実証から虚証に変わった、あるいは虚証から実証に変わるという場合があります。また、いつも元気な実証だった男性が、仕事や環境の急激な変化が引き金となって抵抗力が落ちて虚証に転じるケースもあります。
一般的には、年齢とともに生命力や抵抗力が低下し、虚証になる人が多いといえます
今の自分の状態を見極め、適切な養生を心がけましょう