「秋の養生」
今回は秋の養生のお話です!
春は子供時代、昇陽の季節です。太陽の光を浴びて、植物が地面を突き破る勢いで芽生え、虫や植物は地中から這い出してきます。
夏は青年期、発散の季節です。気はさらに上昇して、体表から外に出ていきます。バラなどの花が芳香を発散し、人間は汗をかいています。
秋は中年期、収斂〈しゅうれん〉の季節です。動物は毛が生え換わり、冬に備えて食糧を備蓄して、たくさん食べます。植物は落葉して、実や根に栄養が集まります。
冬は老年期、閉蔵の季節です。植物の種は地中にあり、動物は穴ごもりします。人間は昔は家に閉じこもって、囲炉裏のそばで藁を編んで過ごしていました。
肺の病気が増える秋
東洋医学の五行〈木・火・土・金・水)の考え方では、秋は金の季節であり、五臓六腑では「肺・大腸」に対応します。ゆえに、秋は肺の病気が増え、喘息、ブタクサなどの秋の花粉症の鼻水、皮膚炎の悪化、かゆみが多くなります、咳をする人も目立ちます。また、夏の終わる頃から下痢や便秘など、おなかの調子を崩す人が増えてきます
秋は陰を補う季節
陰陽論で言うと、秋は陰の季節ですから、「陰」を補う必要があります!五臓六腑の考え方で「腎陰」がありますが、これは全身の「陰」のもとになるものです。陰を補うには腎を強くすると良いです。腎に効果があるのは栗やクルミで、栗は腎を補い腰痛に効きます。また、黒ゴマやきくらげなど黒色の食品は腎を補います。ブドウも黒色で腎経に入りますので、適量の赤ワインは冷え性にも良く、補腎、抗酸化作用で寿命を延ばします。夜にぐっすり眠ることで陰は養われます。ところが、涼しくなって眠りやすくなるはずなのに、特に更年期の女性で不眠、のぼせ、のどの渇き、イライラ、肌のかさつきが出ることが多いです。これは陰虚といって、体を落ち着かせる要素が不足しているからです
はり灸治療では
咳や痰がある場合、手のひらを上にして、肘のほぼ真ん中にある「尺沢」に鍼をし、おなかの不調にはおへその両脇にある「天枢」にお灸をします。陰を補うには、内くるぶしの上にある「三陰交」にお灸します。「三陰交」は養生のツボとしても有名で、あらゆる年代の女性に効果があります